日記に書いたAC3ネタ
Misson1
明かりも付けてない薄暗い部屋で、さっき買ってきたお弁当を頬張りながらデータスワローに目を通す。
ゼネラルの軍事演習、美しい流線型の機体が散開していくニューコムのCM。
どれも特に目を引く事はない。適当に目を通して適当に閉じていく中、一つだけ興味を引いた番組があった。UPEOの同僚……年下だけど一応先輩……レナのものだ。彼女へのインタビュー。
「体なんて人間にとって心の入れ物でしか無いのなら……私には意味の無いものだな」
その言葉が酷く哀しいと思ったのは何故だろう。
その一言がこんなにも印象に残ったのは何故だろう。
結局それを最後に番組を閉じてしまったから、それ以上は解らなかった。
何で今日はこんなに気怠いんだろう。エーリヒからメールが来ている事にも気付かなかった。
こないだちょっとパークのおっさんを否定する様なこと呟いたのが本人の耳に入ってしまったことを心配してくれていたらしい。
「レナやフィーの機動(マニューバ)のコピーばっかはやめとけよ」
「……そんなつもりは無いんだけどなあ」
治安維持部隊UPEO。でも、その中も一枚岩ではないようなのだ。
見た目通りの温厚そうなクラークソンのおじさんと、何かにつけて好戦的なパーク司令。
話し合いで全てが解決すれば僕等はいらない。かといって無意味に戦争してもなあと思う。
「足して二で割ったら丁度良いのかも……」
後はもう目の前の天丼弁当を平らげる以外にすることも無かったのだけど、どうも今日はそれすら億劫で。
そんな日に限って特大の具をサービスしなくてもいいのになあと思いながら、口に頬張ってなおはみ出そうな巨大なカボチャのスライスをかみ砕く……はずだった。
「業務連絡を口頭で……あ、ごめん。食事中だった?」
フィーからの通信が入って来た。しかも酷く真面目な業務連絡のである。よりによって食事中に……。
「もご?」
とりあえずOKのサインを出したけど……そんなに変な顔をしているのかちょっと笑いを堪えてるぞー。
「ふふ。正式な書面は追って電送されるけど、UPEO所属の搭乗員は本日付けで無期限の待機命令。ま、簡単に言えばかなり雲行きが怪しくなってきたって事」
また忙しくなっちゃいうのかなあ……ただでさえ今日は気怠いのにますます気が滅入っちゃうよ。
「あ、そのお弁当美味しそうだね。何処のお店?」
「もごっ!?」
まだ切ってなかったんですかい!?つか、詰まった……苦しいんですけどー。
「だ、大丈夫……?」
「う、うん……このお弁当ね、基地の裏手にあるお店の。レトロな風貌だからすぐに解ると思うよ」
「ありがと。あ、それから、物食べながらスワローの前に座るの、どうかと思うわよ?」
「ぇー」
「じゃあ、またね。セツ君」
−心ごと翼になってしまえたら−
そんなときに、さっきのレナの言葉を思い出した。
……食事が燃料になちゃうのはかなり味気……あ、味覚も無くなっちゃうか。
その翌日の事。あの美しい流線型の機体を目の当たりにしたのだ。
落とすべき、ターゲットとして。
「綺麗……」
最初は、HUDに映ったターゲットだった。ランデブーの方向から考えて、撃墜は無理と判断、すれ違った瞬間だった。
青い機体が夕日を反射して輝くのを、僕はしっかりと目に焼き付けていた。
「……あれを落とすのか……?」
「セツ?」
目を奪われる光景だった。だけど……その青い光はミサイル照準の中。
「仕方ないよね」
トリガーを引いた。ミサイルと機銃、二つの閃光が、綺麗な青を無惨に引き裂いて行く。
余談ですがこれを書く直前本当に天ぷら弁当を食べながらAC3をやっていました(笑
このゲームはある種真の意味でプレイヤー=主人公だったりしますし。
初ミッションで機体に初恋するとは思ってもみなかった。デルフィナス綺麗〜
Misson5-7
「悪いけど、TGT以外に用無いんだよね」
キースのおじさんを後ろにぶら下げたまま最後のターゲットを撃墜する。
ディジョンだったらちょっとやばかったかな?
やっと停戦協定が結ばれたと思ったら早速破棄されちゃってやんの。
今まではゼネラルと一緒にニューコムに攻撃することが多かったんだけど、今日は逆だったりする。こうなっちゃうとどっちもどっち。クラークソンおじいちゃんもうちょっと頑張ってくんないもんかな。
帰って夕飯の出前を受け取ったちょっと後のことだった。
「あー……やっぱり食ってるよ。つーか何かしらくわえてるよな、お前」
「今日はラーメンか。こないだはピザだったっけ。レパートリー尽きないね」
こっちとしては、何で食事中に限ってリアルタイム通信やら出撃任務やらが入るのか不思議でならない。
……生活サイクルみんなとずれてるのかなぁ?
会話の内容は至って深刻なんだよね。このままで本当に大丈夫なのかどうか。
本当に撃つべき相手は誰なのか、僕は食事中で発言は最後に一つ言えただけ。
「両企業の戦争馬鹿のせいでしょ。ゼネラルも黙ってれば堂々被害者面できたのに」
その上僕等まで引っぱり出されたんじゃ迷惑きわまりないよね。
「キミ、結構きつい事さらっと言うよね」
「セツ……最近機嫌悪いだろ?」
「だって馬鹿じゃん」
そう言えば、レナはまだ飛べるようにならないのかなあ……。
で、その翌日にやっと飛べるようになったレナのリハビリがてらの偵察機の追跡任務。
昨日のお礼みたいなものかな、あの流線型の機体がニューコムから回ってきた。
あの綺麗な青じゃなくて、UPEOのどっちつかずな灰色なのが気に入らないけど、こればっかりはしょうがないか。結果から言うとその先にゼネラルの秘密工場があったらしくて、谷間で旋回するハメになった。それも出来る機体だったから満足満足。
ただ一つ気がかりなことがあって、その為にレナの部屋の前にいる。
「レナ、いいかな?」
「いいけど……どうしたの?直接来るなんて……」
「差し入れがあるから、直じゃないと無理でしょ?」
任務中、レナの様子がおかしかった。来たことがあると言い出して、何かを思い出そうと必死で何か呟いていた。ディジョンの事も知っているらしい。帰りに呟いた、黒い大きな翼、ナイトレーベン……気にはなるけど、それを突っつきに来たわけじゃないんだ。
「考え事してたみたいだからさ、甘い物をお供に付けるといいらしいよ」
と、言うわけで、片手にはシュークリームの入った箱を抱えてる。
「プチシューとデカシューあるけどどっちがいい?」
「……並は無いの?」
「ごめん。出撃前に食べちゃった……多分味に違いはない……はず」
「……そう言えば食べてたわね。いいわ、入って」
扉の向こうに見えたのは整然とした部屋だった。
無駄な物の一切無い……ちょっと寂しい感じの部屋。
窓と思った外の風景は、実はモニターに映し出された景色。
「あれ、いいの?考え事してる真正面でデカシュー頬張っちゃうけど?」
「うん。ちょっと話したいことがあるから」
悩み事に直接触れる話じゃなかった。
ただ、また何かあったら相談するかもしれないって事。
シュークリームは好評だった。実は手作りだからすっごく嬉しい。
そんな気分の日なのに、見た夢は不思議で、少し恐いものだった。
僕はスワローの画面に映ったそれを見ていた。
何かを返してと叫ぶ女の子。照らし出される黒い大きな翼。
白衣を着た科学者達の無機質な拍手。
その中心で、うっすらと……少し恐い笑みを浮かべていた女の子は……レナ?
「うっ……くぅ……」
そこまで見たところで後頭部に変な痛みを感じて目が覚めた。
……僕の昔?だったら何故彼女が?昨日もそうだった……
あの機体……Rナンバー、デルフィナスが来たことを知ったのは……こんな夢だった。
以前レナに言われた言葉がフラッシュバックする。
−あなた、どこから来たの?−
「そんなの、僕が知りたいよ……」
その日、少なくとも日中は平和だった。
「お前、レナの部屋に行ったんだって?」
昨日レナの部屋に直接行ったことで変な噂が立っちゃっていたけど。
異変は夜に始まった。
「これから話すことは、例え賛成してくれたとしても、反対したとしても、何も尋ねないで、誰にも言わないで、黙っていて欲しいんです」
レナから来た一通のメール。昨日の、相談するかも知れないことについて。
「聞いてほし……、……」
……あれ?
「……、……」
音声が飛んでます……よりによってこんな気になるところで音声不調か〜。
くそー直れ治れーと叩いて何とかなるようなら苦労はしないわけで。
結局、内容が深刻そうなので、変な噂覚悟でまたレナの部屋へ……。
「なんだ、逢瀬の相手ならハンガーにおるぞ?」
は、ハンガー……て事は無断出撃の相談だったの、あれ?
そのハンガーに向かうと、今まさにレナはフランカーに乗り込もうとしていた。
「ごめん!スワローの不調で音が飛んじゃってて……」
「え……?」
何か言おうとしたけど、人差し指を口の前に立てて静かにと示す。
「何も尋ねないし、誰にも聞かない。僕等仲間でしょ?一緒に行くよ」
「……ありがとう」
防護服に守られていたレナの顔が、僕の見たいそれとは違ったけど、笑顔になる。
僕が何処から来たのかは解らないけど、
エーリヒやフィーやレナと、みんなと飛ぶ為にここに来たんだと。
少なくとも、僕はそう思うことにしている。
TGT以外に用が無かったわけではありません。澄香のへっぽこ技量ではそれが精一杯だったんです(笑
ちなみに音飛びは実話だったりします。いい加減本体が古くなってきたのかしらん。
多分実際に顔会わせる事が少ない世界だからこそNEMOやディジョンがいられるんだろうけどあえて反旗を。
Misson8直前
果たしてその時、悲鳴を上げたかどうかすら定かではない。
酷い悲しみに囚われて目を覚ます。これが最初ではないはずなのに。
「―――――――――っ」
寝汗で髪をぐっしょり濡らした後は、止めどなく溢れてくる涙を拭いきれず顔中を濡らす。
「あ……はぁっ……はあ……あ……」
悪夢だった。思い出すのを拒むように後頭部に痛みが走る。
思考は同居し得ない罪悪感と喪失感、次いで焦燥感で満たされていく。
悪夢だった。でも、今までのそれには、最後に救いがあった。
それさえ思い出せない、でも、それがあったから今日ほど辛くはなかった。
今日の悪夢には……それが無かった。
「セツ、これで何日連続だ……?」
「あう〜……むぐむぐ」
初めてじゃない。初めてではない。UPEOに入る前、病院で目覚めたときも何か酷くショッキングな光景を見たような気がしたからだった。UPEOに入って三日目、目を真っ赤に晴らしてブリーフィングにやって来た僕に皆が目を丸くした。恐い夢を見たと言って最初笑っていたエーリヒも、それが二週間から一月おきに繰り返すと流石に心配してくれるようになっていた。
「しかしまあなんだ……流石に三日ともなるとクマも見事になっちまうよなあ」
「もぐもぐ……クマと腫れのコンボはどーう?」
「その顔でちゃっかりカロリーメイトかじってるお前の方が威力あるよ……」
「だって寝付けなくてごろごろしてたらお腹空いたんだもん」
「朝飯食ってまだ足り無いのかよ」
そして悪夢を見た後は何故かもの凄くお腹が空く。
空腹なんて半端なのじゃなくて……それこそ飢えと呼ぶに相応しいような。
「人の分まで食うなー!」
「もぐ〜」
何か、何かしなくては。胸の内にそればかりが燻っている。
繰り返したくない罪と喪失。正体も分からないそれを回避する術を考えてばかりいた。
――A traitor to the destiny...begins
to move――
Missonから仕入れたネタではなく自分の生身NEMOの設定が書いてあるお話。
事故って入院して退院したは良いけど記憶喪失(原因は……ごにょごにょ)その後UPEOに所属。
でも時々夢という形で昔を思い出すけど最近では予知夢に近くなっているそれに戸惑い気味。
その度にうなされて泣いているらしい。そして腹を空かす。エリックを何故かエーリヒと呼ぶ
ラストの一文を訳するなら「動き出す、運命への反逆者」